希望を失わずに 待つ ー令和の時代を控えた #世界自閉症啓発デー に寄せて

令和の時代を控えた世界自閉症啓発デーに寄せて、私と日本の、病と回復の歴史について。

過去と現在

私は、20歳ぐらいから30歳ぐらいまでのおよそ10年間、ほぼひきこもり状態だった。

当時は自分の発達障害にも気づいておらず、しつこい抑うつと昼夜逆転、社交不安、ネット依存、そしてさまざまな身体症状に悩まされていた。このせいでほとんど外出することができなかったのだ。

その後、発達障害を自覚。東日本大震災を経ていまの夫のところに駆け落ちした※あと診断を受け、さまざまな支援とつながるようになって、回復のステップを踏んできた。いまは発達障害当事者ライターとして多少認知していただけるようになり、初めての本を書いているところだ。

※ここの事情についてはこちらを参照。

回復の最終ステップに身を置いていると自覚する現在、初めて自分の歩んできた道が一本の筋として見渡せるようになった気がしている。

私の歩みと時代の歩み

私はともかく、その瞬間瞬間でただ必死に、倒れないように足をふんばって歩いてきただけだった。けれど振り返ってみると、自分が良くも悪くも、どこまでも時代とともに歩いていたことに気づく。

私は5年ほど前に、傾聴型のカウンセリングや、ただ服薬して精神科医の短い面談を受けているだけの治療に限界を感じるようになった。徐々に、認知行動療法やマインドフルネス、PTSD症状のセルフケアに興味を持つように。やがて、EMDRなどのトラウマ治療、グループによる支援、さまざまな当事者会・自助会、ボディワーク系のセルフケアにも触れるようになる。

このような「ケアを渉猟する旅」ともいえるものは、「回復したい」という切実な思いから喚起されたものだった。この流れは単に自分個人のものと考えていたが、昨年ぐらいに大学院で精神医学を学んだりする中で、精神医学や臨床心理学、もっと広くいえば看護・介護・福祉の分野全体でも、相似形のようなトレンドの移り変わりが起きていたことに気づいた。

「治療」とは何か、「回復」とは、「病」とは何か。変わらなければならないのは、当事者と社会、どちらなのか。いわゆるエビデンスなんて、実は伝統的・正統とされた治療さえ、ロクに持っていないではないか。であるなら、心の病の本当の専門家とは誰であるのか。患者は、ただpatientなまま、専門家から与えられるものを呑み込んでいればいい存在なのか。病の当事者とは実は、もっとパワフルな存在なのではないか。そんな提言が、専門家の側からもなされてきていたのだ。

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もっと昔のこと、あるいはマイナス面まで見渡してみれば、私は、「発達障害」の概念が今のようには普及していない時代に生まれ、自分の生涯に無自覚なまま、必要以上の忍耐や傷を強いられながら育った。いわゆる無支援環境だ。

高機能群の発達障害者には、大学生活や就活でつまずいて引きこもりになるリスクが高いことが今はわかっているが、悪いことに私が大学新卒に至った時代は、「失われた10年」とも、「就職超氷河期」とも呼ばれた。グローバル化の時代でもあり、若者は、より低賃金でよりマルチな技能を発揮するように要求された。

高機能自閉症であった私に、この時代の新卒就活を無事に過ごせるはずがない。そしてみごとに心折れてひきこもりとなったわけだ。ある意味典型的である。私と同じような素質を持つ同年代が、いま、世の中にひきこもりや貧困の中年として、数えきれないほどあふれている。

どちらがニワトリで卵なのかはわからない。ただ、私はつねに、時代とぴったり寄り添うように、あるいは巻き込まれるようにして、病への道も、回復の道も歩んできたのだ。

希望を失わずに 待つ

自分の病と回復について思い返すときに、いつも心にのぼる人がいる。日本のユング派臨床心理学の草分けである、河合隼雄先生だ。

文化庁長官であらせられたとき、彼はNHKの番組で、日本人に多発する「うつ」についてや、うつのクリエイティブな側面について語った。調べてみると、この番組が放映されたのは2005年から6年ぐらいのことのようだ。

私の記憶や、ネットで拾える関連の資料をまとめると、だいたいこんな感じの話だった。

心の病は、時代と社会の病である。心を病む日本人は、日本の病を病んでいる。
ところで、うつは「創造の病(クリエイティブフルネス)」である。うつは今まで完治が難しい病気とされてきたが、私は最近、完治といっていいケースを目にするようになった。彼ら、完治した人たちには共通点がある。うつを経て生き方や価値観を大きく変え、何らかのクリエイティブなことをしはじめた人たちは、うつが完治するのだ。たとえば、いつも「もうかりまっか」ばかり考えていた人が、「おもろいでっか」で生きるようになったときに。
うつは、エネルギーが枯渇して起こると考えられているが、私はうつを、「エネルギーが行き所を失った状態」と考えている。このエネルギーを創造のエネルギーに変えて発散させてやる必要がある。
私はいままで、日本の病を病む人たちが「もうかりまっか」から開放され、回復し、「おもろいでっか」の創造性を発揮していくのを、個人のレベルで寄り添ってきた。文化庁とは、日本の文化、つまり創造性を扱うところだ。私はこれから文化庁長官として、日本を「もうかりまっか」の病から回復させるために、国家のレベルで関わっていきたい。

私はそのとき、何度めかわからない転職の失敗を経て、意気消沈しながらひきこもっていた。上記の内容だけでもずいぶん鼓舞されるが、最後に彼が若者に向けたメッセージとしてフリップに書いた言葉は、あのときからいまこの瞬間まで忘れえない、啓示のようなものとして心の奥深くに残ることになった。

希望を失わずに 待つ

日本はきっと、いつか病から回復する。うつの人が、「このままでは本当にダメだ。生き方や考え方を変えなければ私は死んでしまう」と心底覚悟したときに劇的な回復を始めるのと同時に、いつか日本も回復の瞬間を迎えるはずだ。けれど、病の回復には時間がかかる。人も、国も。だから、待つ。焦らないで待つ。それも、希望を失わずに… 確か、こんな説明だったと思う。

刻一刻とほとんど絶望しそうな苦しみが襲ってくる生活のなかで「時間はかかるけど、希望を失うな。きっとなんとかなるから」と言われるのはつらい。「そんなフワッとしたこと言われたって」となってしまうわけだ。でも同時にこの言葉は、なぜか私のすごく深いところに刺さって、抜けなくなった。

ふだんはこの言葉を忘れているけれど、「ああきついな、こらえきれないな」と膝から床に崩れおちるような瞬間に、ふっとこの言葉が強烈に脳裏に蘇って、「そうか、じゃあ今日のところはこらえようかな」みたいになった。そうやって私は生き延びてきた。そう、あれから15年ほどのあいだだ。まるで、身体に埋め込まれた徐放型の薬みたいだ。私の身体には、河合隼雄の言葉のクスリが入っている。

「待っていたかいのある日」が、もうすぐ来るような気がする

ここ5年ほどで、いわゆる「生きづらい人たち」にまつわる社会的な変化が、立て続けに起こったように思う。

「発達障害ブーム」のようなものが起きて、(もちろんまだまだ十分ではないものの)ずいぶんと世間の理解度も進んだ。障害者雇用の水増し発覚から続く一連の障害者雇用まわりの騒ぎも、腹が立つことは多いけれど、ずっと明るみに出ないままだったよりかはずっとよかったのではないか。ついせんだっては新しい引きこもり統計が出て(これも突っ込みどころはいろいろあるのだけど)、ようやく国も、自分たちがいかに、いま中年以降になっている年代の人たちをないがしろにしてきたかを一応は認識した形だ。

いままで隠されていたいろいろな毒が、ようやく良くも悪くも表面に噴出してきた。それで、こんな提言も出てきた。

サポステは失敗だった~40才以上ひきこもりが61万人。「居場所」に予算を(田中俊英) – Yahoo!ニュース

こんな本も出た。

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私の友人や仕事つながり、その延長線上にいる人たちの中でも、従来のシステムの中ではうまく働き続けられない人たちのための就労支援や居場所支援をやろうという動きがにわかに高まっているように見える。

障害者クラウドソーシングサービス「サニーバンク」に転職します。もしくは居場所がない人の悲哀について。|くらげ|note

「仕事」以前の、芽生えの瞬間に立ち会える人であれるように|Yuhei Suzuki|note

寝たきりの親友と話していた「自信」に対する考察|吉藤オリィ|note

いろんな人たちが、「働けない人たちをその人たちのせいにしていないで、社会システムのほうを変えていこう」と考えるようになったのだ。そして実際に動き出した。

私はつくづく、自分が「希望を失わずに 待つ」をしつづけてきて… 死ななくて、生き延びてきて、よかった、と思った。どうやら、待ったかいがありそうだ。もちろん、これからもいろんな問題は山積みなんだろうけれど。それでも、時代が前に進んでいくというのはいいものだなと思う。

新しい時代「令和」は、昭和天皇崩御とともに迎えた平成とは違い、おめでたい雰囲気の中で皆でわいわいと迎えられそうな感じだ。

日本という国、そんなに好きじゃない。けれどまあ、このように縁あって日本に生まれ育ち、いまも日本に生きているのであれば、もろともに泥水にまみれながら生きていってやろうではないか。

新しく、おだやかで平和で良い時代が、みんなに訪れますように。

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